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2005/06/25

本◆地上最大のロボット

鉄腕アトム『地上最大のロボット』である。

「地上最大のロボット」
そう、あの
PLUTO(プルートウ)
の原作だ!

何?PLUTO知らない?
よもや、そんな香具師はおるまいな。

asahi.com :
朝日新聞手塚治虫文化賞
- 朝日新聞社から


を受賞した
浦沢直樹PLUTOである。

知らない人は、いないと思うが、念のため説明しる。
PLUTOは、手塚治虫の鉄腕アトムの中で、最も人気のあったエピソード『地上最大のロボット』のリメイク漫画なのだ。映画や音楽のリメイクや、小説やドラマ、映画を原作とした漫画化なんて話は良く聞くが、漫画原作の漫画化ってのはちと聞いた事がない。
 
して、PLUTO豪華版コミックの第1巻
「PLUTO 01」表紙はゲジヒト。カッコイイ♪←これに、その原作『地上最大のロボット』が特別付録として付いて来たのだ。
原作本付きということは、その話の流れを全てバラしてしまう事に他ならない。既知の作品だとは言え、『地上最大のロボット』は、1964年~65年ぐらいにかけて連載されていたものであり、今時の若い人は知らないのではないだろうか?かく言う私は、若い人ではないが^^;、内容については、まったく知らない。私にとって手塚治虫と言えば、「ブラックジャック」であり、「火の鳥」であり、「アドルフに告ぐ」なのだ。鉄腕アトムは、名前だけで、中身については殆ど知らないというのが、正直なところである。
 
何が言いたいかというと、原作知らない人の方が圧倒的に多いと思われる中にあって、その原作をわざわざ付録としてつけているという凄さである。これは、よっぽどPLUTOという作品に自信があるという事とともに、原作者手塚治虫氏への強烈なトリビュートである事に他ならない。

この作品については、ネタバレ云々って話は無いと思うので、原作について、大まかな内容を書くと、世界の王者になる事を夢見たサルタンが、世界一のロボット プルートウを作り、その証明の為、プルートウに世界で一番強い7体のロボットに次々に戦いを挑み破壊していくというお話だ。その7体とは、モンブラン、ノース2号、ブランド、ゲジヒト、ヘラクレス、エプシロン、そしてアトムである。結末は一応ふせておこう。

「PLUTO 02」表紙はアトム。可愛いくもせつない。この子が10万馬力で、しかも空飛ぶなんて、なんか想像つかないナさて、手塚原作と浦沢リメイク版を比べてだが、まず物理的に捉えると、手塚原作版は
181頁の作品となっているのに対し、浦沢リメイク版は、2巻までで392頁である。しかもその2巻で、原作でいうと
40頁ぐらいまでしか話は進んでいない。ボリュームとしては、圧倒的に浦沢版の方がある。何が、そんなに食っているのかと言えば、設定である。
 
手塚原作は、正直言って、細かい設定、何故にそこに至ったかの背景は無い。戦いのシチュエーションとしても子供だまし的な感が否めない。。。但し、それらは、今にして思えばである。昨今の環境を言えば、漫画のみならず、映画にしても、ゲームにしても 時代背景、設定の緻密さ、リアルさで、あふれかえってる(その反対もあって、二極化が進んでいるが)。そんな時代感から見れば、稚拙という事になってしまうだろう。しかしだ、手塚氏が伝えたかったテーマは、ひしひしと伝わる。『唯一絶対の権力などない。力だけ強くて何がエライのか!』である。そして、ロボットが悲しむのである。しかもアトムではなく、敵役のプルートウが である。これは、当時の子供達にとって衝撃的な作品であったに違いない。
 
だからこそ、浦沢版があるのである。この時代に合った、時代背景、設定のリアルさを盛り込んで、原作の世界観を見事なまでに作り上げている。ロボット一体一体の存在背景にしても原作を逸脱せず、あぁ、そうだったんだと思わずにいられない。原作をモチーフにしたまったく別物の作品だという人もいるかもしれないが、そんな事はない。
 
浦沢直樹が凄いのか、プロデューサーの長崎尚志(漫画にプロデューサーが付くって事も日本では画期的な事だよな)が凄いのか判らないが、一つだけ言えるのは、PLUTOは、『地上最大のロボット』をリアルに感じた世代の彼らが作り上げたものだという事。つまり、彼らがそう感じていた世界なのである。これは、(私が稚拙だと言った)手塚作品を見て、それを感じ取る読解力、想像力に他ならない。当時の子供達(人々)には、その感性が備わっていたのだと思う。昔、ロボット刑事Kという特撮作品があったが、あれも今にして思えば、この『地上最大のロボット』に出てきたゲジヒトをモチーフとして作られた作品なのではなかろうか。
そんな彼らだからこそ、PLUTOを描けるのだろう。そして、手塚氏が残したテーマを現代にも伝えたいが為、その為に描くのだろう。

設定の緻密さ、リアルさで、あふれかえってる現在に浸りきっている我々では、到底及びもつかない事だ。
と、『地上最大のロボット』PLUTOを読んで思った次第・・・


それにしても、浦沢直樹凄い!
時事問題を取り入れて、一級のサスペンスに仕立て上げている。
そして、登場人物(あ、いやロボット)達のせつなさに満ちた目。
ぞくぞくしてきます。
一体何巻まで続くのだろう。181頁の40頁分で、2巻でしょ・・・
このペースだと10巻弱か!!

あれ?俺、このまま豪華版で買い続けるのか( ̄□ ̄;
なんか違う意味で、今、ぞくっ!としたぞ...


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22 浦沢直樹」カテゴリの記事

コメント

GOKさん、こんばんは♪
「地上最大のロボット」感想ありがとうございますw
浦沢版PLUTOにも感動しましたけど、私はGOKさんのレビューにも感動しましたよ~!うんうん頷きながら読ませて頂きました。
特に、“PLUTOは、『地上最大のロボット』をリアルに感じた世代の彼らが作り上げたもの”というくだり。
本当にその通りだと思います。
手塚氏はもちろん凄いです。でも、その感性をずっと持ち続けて、私たちの心により響く作品に作り上げる浦沢氏もやはり凄いんですよね。
う~ん・・・涙を誘うわけだ・・・。

投稿: 小夏 | 2005/06/26 21:16

こんにくは。サッカーブロガーです。
無事にPLUTO1巻を手に入れ読みました。相変わらずおもしろいですね。
確かにアトムって主題歌の印象が強いけどちゃんと見たことは無いのでちょっと衝撃を受けました。
読んでみたいトコですがとりあえずPLUTO完結までは我慢しときます。
かなり先になりそうですが。

投稿: ビーノ | 2005/06/27 00:20

>小夏さん

く~(>。<;ありがとー♪
小夏さんに、リクエストされたので、ちと力入れて書いたんですが、いつもの如くだらだら長い文章になっちまって…ちゃんと読んでくれて、すっげー嬉しいです…(^^;
小夏さんに誉められるとなんか天下取った気になるなw

投稿: GOK | 2005/06/27 02:07

>ビーノさん

こんにゃくは~。
気に入った作品があると勝手に拡大解釈して妄想の世界に入ってしまうムービー&コミック感想文文筆業のGOKですw
コメントありがと~ございます。

そーいえば、ビーノさんも以前PLUTOの記事書いてましたよね。
http://ronaldinho.blogzine.jp/toilet/2005/05/plutoamazon_6690.html
1巻入手できて良かったですね~(藁
TBさせて頂きます(^.-)b

投稿: GOK | 2005/06/27 02:40

読みましたよ。浦沢版PLUTO。前から(パイナップルアーミー以来の)ファンです。と言ってもあまり自宅には置いていませんけど。
最近漫画自体をあまり読まなくなっているのですが、これだけは別でした。久しぶりに漫画を読んでワクワクしています。GOKさんの言うとおり、彼は天才だと思います。
詩のBLOGから遊びに来たt-nanaseでした。

投稿: t-nanase | 2005/11/17 12:10

>t-nanaseさん♪

ども!!こちらでは、はじめまして~♪♪
ようこそおいで下さいました♪
私はいたって元気です。
表面上は(^^;

PLUTO面白いですよね~
でも豪華版の続巻ってまだ発売されて
ないっすよね?
いつ発売されるんだろ~( ̄~ ̄;

投稿: GOK | 2005/11/18 00:56

迷惑コメント頻発ですので、
この記事へのコメント投稿禁止と致します。

投稿: GOK | 2008/05/08 06:14

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