映◆9次元からきた男
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9次元からきた男(2017年)
マイ評価:★★★★☆
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監督:清水崇
出演:T.o.E役:ジェームス・サザーランド
T.o.E声:小山力也
科学者アサヒ役:ヨシダ朝
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鑑賞:仙台市天文台 170805
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プラネタリウムの天球(ドーム)映画作品です。
『我々はどこからきて どこへむかうのか?』
こんな疑問を抱いたことはありませんか?
子ども頃、多くの人は、
一度は抱いた事があるのではないでしょうか?
科学者は、
その究明を追い求め続ける人たちなのかも
しれません。
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知ってますか?
現在、宇宙が誕生してから138億年経過して
いるのですが、宇宙の誕生から
0.0001秒後~0.00000000001秒後の間に
どんな事があったのか定量的に説明する事が
できるそうです。
標準模型という理論を使うそうなんですが、
実は、
その標準模型理論を持ってしてさえ、
(★)0.0001秒より前の時間は説明できない
そうです。
そしてまた、
標準模型理論は、
今、目に見える物質の殆どすべて
(もちろん我々も含まれます)を
説明する事ができますが、
実はその説明できる物質の量は、
宇宙を構成する成分の
4%にしかならないそうです。
(ちょっと前まで5%と言ってたんですが、
最近の発表だと1%減っちゃってます^^;)
判明している4%の物質は総じて
バリオン物質といいます。
不明な物質96%のうち
23%がダークマター
73%がダークエネルギー
という
どちらも実態がつかめない謎の存在です。
ダークマターは、
「光や電波では見えないが
重力を及ぼしている物質」
ダークエネルギーは、
「宇宙を加速膨張させているエネルギー」
となっています。
天体(宇宙)の動きから、
バリオン物質だけでは説明つかないけど、
観測事実として、
(★)銀河を一括りにしてるなんらかの力が
働いている事。
(★)宇宙全体を加速膨張させているなんらか
のエネルギーが存在する事。
これらはゆるぎない事実だそうです。
(★)箇所重要です。
つまり、どういう事かというと、
これをクリアしないと、最初の命題、
『我々はどこからきて どこへむかうのか?』
に辿り着かないという事になります。
クリアするためには、重力を扱う相対性理論(マクロ宇宙)と素粒子を扱う量子力学(ミクロ宇宙)という相性の悪い2つの理論を統一した「万物の理論」が待望され、それに向かって、理論物理学者の科学者たちは、日夜努力を続けているという事です。
その統一された「万物の理論」に、現在もっとも近いのが、「超弦理論」通称「ひも理論」と言われています。
現在、我々は、3次元の世界を認識して住んでいるわけなんですが、「ひも理論」はそれより6次元多い9次元となっています。
その余剰次元の6次元分の空間を「カラビ-ヤウ空間」と言いますが、非常に小さく折りたたまれているため、我々は認識する事ができないと言われています。
(ちなみに時間軸を入れて10次元とする言い方もありますが、同じ理論です。また、11次元とする理論もありますが、その場合「ひも理論」ではなくなります。)
というわけで、本作についてですが
…(前置きなげっ!www)
「万物の理論」は、英語で「Theory of Everthing」と言います。本作では、それを略して「T.o.E(トーエ)」というキャラクターとして擬人化し、9次元からきた男として登場させて、科学者達との追跡劇に仕立てています。
ちなみに、「T.o.E」の声は『24』のジャック・バウアーの吹き替えを担当した小山力也さん。
監督は、ジャパニーズホラーの旗手『呪怨』の清水崇監督。
また、「カラビ-ヤウ空間」を数式を基づいて可視化してマスコットキャラクターのように登場させたり、宇宙138億年を歴史をさかのぼる映像を見せたり、インパクト強い作品となっています。
ドーム映像作品は、未だに過渡期にある表現方法で、監督によっていろいろなアプローチが見れるのも魅力です。
清水崇監督もかなり試行錯誤されたようですが、ホラーではないにしてもオカルトチックな演出が効果的でした。
ドーム映像作品というと ほぼプラネタリウム上映が基本となり、プラネタリウムが公的天文施設に付随された公共施設という事もたぶんにあり、子供向けを狙った学習効果を目指した作品が主流なのですが、実は、本作のようにエンターテイメント性を強く打ち出した子供向けではなく万人向けの「科学への導入作品」も少なくないのです。
本作は、2016年の作品ですが、ドーム作品はロードショー的展開はしないので、最寄りのプラネタリウムでの上映をチェックして、スケジュール組まれたら是非、ご鑑賞頂ければと思います。
プラネタリウムに電話してリクエストするのもありかと思います。
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